歴 史 History
京都とお酢
王城一千年の地、京都で、酢はなくてはならない調味料として昔から使われてきました。
『本朝食鑑』には「酢は近畿、特に京・伏見を良しとする」と書かれています。海から遠い京都では食材の保存に酢が適しており、また友禅染めの色止めに酢が多く使われた歴史もあり、酢屋がたくさんありました。京には茶道の懐石料理、寺の精進料理、朝廷や公家の有職料理、料亭の会席料理など、その歴史と共にさまざまな食文化が今日まで続いています。
素材の持ち味を大切にする京料理、まろやかな味と香りの「千鳥酢」は京の食文化に育まれ、それに合うお酢として今日まで続いてまいりました。 現在は有名料亭、寿司店、レストランなどでもお使いいただいており、また家庭用は全国のデパートや高級スーパーでも販売させていただいております。
千鳥酢の名前の由来
この時代のラベルは「清き流れに」と書かれている
江戸時代、鴨川には千鳥が群れ飛んでいたそうです。
「鴨川や清き流れに千鳥すむ」詠み人知らずの古歌から「千鳥酢」と名づけられました。
古いラベルには「鴨川や流れに清き千鳥すむ」もあり、今となってはどちらが本当かはわかりません。
現在使用しているラベルの赤と青の水面は友禅染めの染料で鴨川が染まった様子です。
今日では環境に配慮して鴨川で友禅流しが行われることはありませんが、京の歴史とともに千鳥酢が続いてきた証となりました。
平成9年の立て替え
平成7年1月の阪神淡路大震災では激しい揺れにもかかわらず瓶1本割れませんでしたが、1ヶ月後蔵や建物に亀裂が見つかりました。
思案の末、被害の大きかった蔵は、建て替えると蔵に棲む「酢酸菌」に変化が出るのではと補強に留め、社屋のみを建て替えました。
「酢」は酢酸菌という微生物が醸してくれるものです。わずかな環境の変化が味や香りに影響を与えます。それが何なのか、醸造学でもまだまだ解らない部分ですが、これが他社と味や香りが同じにならない原因であります。
「千鳥酢の味や香りを守り続けたい」、建て替えにあたり一番大切にしたことです。また働き易い職場にしてこそ会社も続くと考えました。
令和2年 南丹工場完成
南丹市園部に南丹工場が完成しました。